美少女クラブ 下【第1話体験版付き】 / ティーアイネット

ティーアイネット / 美少女クラブ 下【第1話体験版付き】


美少女クラブ 下【第1話体験版付き】_sample CG01
美少女クラブ 下【第1話体験版付き】_sample CG02


赤月みゅうと

1,100円

たった一人残った男「フランツ」は、少女達のみがいる世界、ガーデンで無数の少女と交わる。フランツは少女達を自在に操れる『オペラントコード』を入手し、少女達を次々と犯していく…。

読み終わってから、エヴァっぽいな、って思いました。徐々にヴェールがめくられ、真相が明らかになる一連の制御された流れに、独特のスタイル=エヴァっぽさを感じたのです。ある種の既視感なのですが、このスタイルを意図的に真似るとしたら難しい部類です。

少なくとも、主人公がやりたい放題の背景に説得力を与えるとしたら、それは並大抵のことではないでしょう。にもかかわらず、この作者の切り口はいつも巧みです。

愛するがゆえに相手からの人格無視な振る舞いを許容する、という被虐的な性癖に刺さるのが上巻冒頭のメイド:リーザ。心を持って自律した綾波みたいな第一印象でした。

そして主人公フランツが招待された秘密の花園。なぜ、リーザは大好きなご主人様を、他の女達に与えることを許したのでしょうか。電話の相手「奥様」の正体とは? リーザが出来なかったこととは一体? 果たして彼女は幸せを享受できるのでしょうか? サスペンスタッチの展開が先を読ませます。

双子メイドは、映画シャイニングでしょうか。下巻まで読んでくると、映画アイランドを連想する方もいるかもしれません。作者の豊富なイメージソースを伺わせます。

コマ割についてですが、無駄に線が多いにもかかわらずページが白く、赤月みゅうと氏の近作と比較すると、若干拙い印象を与えます。しかし、逆にそこが初々しく、むしろ生々しいパトスを放出してくる線画だと言えるでしょう。

描かれるシチュエーションは多方面に及び、きっと実用にも耐えるはずです。例えば、オペラントコードを使って、不良三人に逆襲するくだりは、私のお気に入りです。氏の漫画にはよくあるシチュエーションで、三人の中には必ずショートカットの無口な娘がいるのです。内心、逆襲を喜んでいたりと腹黒ですが。

クライマックスにかけてはイキシアの存在が光っており、我を曲げることを知らない彼女が最後にどこへ行き着くのか、是非、確かめてみて下さい。